~ 其の四 ZAPP / ROGER の巻 ~

この特集はロジャーが亡くなる前に作ったものです。
ロジャーの他界後、一切編集、加筆はしていませんことをご了承願います。

今回はロジャーです。オハイオはデイトンを本拠地に、今だバリバリ現役である。私のファンク人生に多大な影響を与えた人であり、ブルースなどのファンク以外の音楽への扉を開いてくれた。録音物は、もちろん文句のつけようがないくらい素晴しいのだが、やっぱりライブを観ないと話にならない。ロジャーのライブを観た人はみんな、満足げに幸せそうな顔でニコニコしながら帰っていく。そのライブは黒人音楽のすべてがつまった、そして「そこまでやってくれるかー!」というほどのサービス精神。まさに『これぞブラック・ミュージック・リビューだっ!』と言えるエンターテイメントだ。そして、ここがポイントなのだが、とにかく「楽しい」「ほのぼのする」ライブだ。私なんか、大阪で2回公演の時、1回目終了後、友達を帰らせて2回目のチケットを買って一人で観たほどだ。是非一度、そのライブを体験してください。

ロジャーを中心とするザップのグループ名は、ザップ・トラウトマンの愛称から付けられたそうだ。ライブやレコーディングを始めとする、ほとんどの仕事をトラウトマン・ファミリーでやってしまう。そのファミリーの会社である、トラウトマン・エンタプライズは不動産業もやっている。金儲けのためではない。ライブやレコーディングの収益で、デイトンの空き地や空き家を購入して、建築、補修した後、格安で黒人に販売しているのだ。しかも、ザップのメンバー自らが休日には作業をしているという。それも、月平均25ステージ、1年のうち300日がロードに出ているというスケジュールの中でだ。成功した黒人としての義務を実践しているロジャーを私は心から尊敬している。

PICK UP

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TRUTH BE KNOWN / THE HUMAN BODY (76年)

このヒューマン・ボディは84年に発売されるグループとは、別物だと考えたほうがいいだろう。これはまぎれもなくザップの前身だ。すでに60年代から、ロジャー&ヒューマン・ボディとして活動していたロジャーが、自費でリリースし、しかもオハイオの3つの町でしか売らなかったという幻の1枚だ。もちろん私も再発で始めて聴いたのだが(写真も再発CDの物)80年にメジャー・デビューしてからのザップとは一味違った音が聴ける。ザップのファーストで再演される事になる『フリーダム』がめちゃかっこいい!アナログ、CD共に再発あり。

JACKET

MORE BOUNCE TO THE OUNCE / ZAPP (80年)

ジョージ・クリントンがデイトンでライブをした時に、その前座をしたのがきっかけで、メジャーデビューすることになったザップの記念すべきファースト・シングル。ブーツィーを共同プロデュースに据えたこの曲はビルボードのR&Bチャートで2位を記録した。エレクトロニクスを導入しながらも、このクールで重たいファンクネスはディスコに席巻されかけていた音楽シーンに与えた衝撃は大きい。ロジャーの、メジャーでのキャリアの第一歩になった重要作。
(写真は7インチ・シングル)

JACKET

THE NEW ZAPP 4 U / ZAPP (85年)

ある意味でこのアルバムと『アンリミテッド』が、ロジャーの音楽の完成型ではないだろうか。自身のルーツであるブルースを始め、ジャズ、ゴスペルなど全ての黒人音楽を飲み込んだ、ザップ流ファンクだ。ファーストの衝撃以降、あちこちで模倣されたサウンドに対する、本家本元の回答といえるだろう。やっぱり格が違います。全曲、捨て曲なし。収録の『レディオ・ピープル』は確か、映画「マネキン」のエンディングで使われてました。

JACKET

I WANT TO BE YOUR MAN / ROGER (87年)

ソロ3作目『アンリミテッド』からの第一弾シングルで、最大のメジャーヒット。また、私の人生に衝撃を与えた一曲です。甘ったるいスロー・バラードが苦手な私が、この曲を聴いた時は、脊髄を電流が走りました。『アンリミテッド』もこれまた全曲、捨て曲なし。JBの『パパのニューバッグ』のカバーも最高で、「カバーちゅうのは、こうやるんだよ諸君」という出来です。これから聴いてみようかな、と思っている方はザップの4枚目とあわせて是非聴いてみてください。
(写真は日本盤7インチ・シングル)

JACKET

COMPUTER LOVE / ZAPP (85年)

ロジャーお得意のスローバラードの傑作。でも、決して甘くならず、あくまでクール。ザップの4枚目に収録で、これはプロモ盤のエクステンディッド・バージョン。私も大好きな1曲です。この切ない曲に片思い中の人は、ほろっとくるでしょう。

JACKET

TRUTH BE KNOWN / THE HUMAN BODY (76年)

新生ヒューマン・ボディの、1枚目のアルバムのタイトル・トラック。ロジャーとオハイオ・プレイオーズのキーボーディスト、ビリー・ベックのプロデュース。そのシンセ・ベースがめちゃかっこよくて、気持ちいい。強烈にかっこいいボーカルも最高です。この盤はプロモ盤でB面にはエディット・バージョン収録。80年代ファンクを代表する1曲。

ZAPP (ALBUM)

JACKET

ZAPP (80年)

新ブーツィーを共同プロデューサーに迎えたメジャー第一弾。でも、サウンドは全然P-ファンクじゃなくて、正統派オハイオ・ファンクだ。

JACKET

TZAPP 2 (82年)

作りはファーストの延長線上だが、ドゥー・ワップ風の曲があったりして、ロジャーのふところの深さがわかる、これまた楽しいアルバムだ。ファンクというとどうしても、リズム重視になりがちだが、ロジャーはボーカルやハーモニーに関しても超一流だ。

JACKET

ZAPP 3 (83年)

『ハートブレイカー』『アイ・キャン・メイク・ユー・ダンス』収録。自らのルーツはブルースだと語るロジャーのハープが聴ける。本当に何でもできるという感じ。

JACKET

ZAPP 5 (89年)

『オー・ベイビー・ベイビー』『ファイアー』収録。

Roger (ALBUM)

JACKET

THE MANY FACETS OF ROGER (81年)

ザップのファーストが結構売れた時点では、ブーツィーがらみという事でP-ファンク一派と勘違いされていたり、エレクトロ・ファンク系の"新人"と思われていたところが、少なからずあったかもしれない。それをロジャーは、このソロ・アルバムの1枚目で黙らせた。ポット出の新人とはわけがちがう。格がちがう。『悲しいうわさ』『ソー・ラフ、ソー・タフ』収録。

JACKET

THE SAGA CONTINUES... (84年)

ここらあたりまでは、ソロ名義とザップ名義で、わりと明確にわけていたようだ。『イン・ザ・ミックス』などは、スクラッチが入ってたりして当時にしては斬新だったと思う。ルーツと新しい物をミックスする感覚は素晴しい。最近のヒップホップ・ソウルやR&Bを、好んで聴いている方は、是非聴いてみてほしい。メイシオ・パーカー参加。『ミッドナイト・アワー』収録。

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UNLIMITED ! (87年)

あの内容の濃いザップの4枚目の後に、このクオリティのアルバムをリリースしてしまうロジャーは凄いとしか形容できない。駄曲なしの全11曲である。このアルバム発表当時、そこそこ活躍していた黒人アーティストで、10年後に残っているのはプリンスとロジャーだけだと言った人がいたが、正にそれに近い状況になった。初の全米NO.1になった『ウォナ・ビー・ユア・マン』と『パパのニュー・バッグ』収録。

※ このほかに91年にソロ4枚目として、アルバム『BRIDGING THE GAP』をリリース。

<トーク・ボックスについて>

トーク・ボックスというのは、ホースの付いた箱で、中にはスピーカーのようなものがはいってます。ミニ・ムーグ(シンセサイザー)のライン・アウトから出た信号がアンプを通ってトーク・ボックスに入ります。ミニ・ムーグの音をトーク・ボックスの中のスピーカーで鳴らすわけです。その音がホースから出てきます。人間の発声のしくみは肺からの空気を声帯を通すことで「音」にします。その「音」を舌や唇、歯などを駆使して「言葉」にするわけです。この「音」を作るまでの作業をトーク・ボックスにさせます。ホースから出た音を口の動きによって、言葉に変えるというしくみです。だから、ロジャーは、さ行・た行のアタックの強い言葉以外は、自分の声はほとんど出していません。それであの明瞭な発音は神業です。(テディ・ライリーは結構うまい)ですから、ミッドナイト・スターなどが使っているヴォコーダーとは全く別物ですので、ファンは間違ってもヴォコーダーなどとは言ってはいけません。トーキング・モジュレーターと言うのは正解ですが、ロジャーは、トーク・ボックスという言い方を好んで使っているので、ロジャーファンはこれからはそう呼びましょう。

Produce

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INITIAL THRUST / DICK SMITH (83年)

ロジャーは83年~85年にかけて、かなりの数のアーティストをプロデュースしている。ロジャー・ファミリーをプロデュースする時は、ファミリー総出でバックアップする。それに加えてこの盤では、バーニーウォーレル、メイシオ・パーカー、シュガー・フットなどがサポート。名盤です。

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THE THISTLE / JESSE RAE (83年)

元スペース・カデッツのスコットランド人。バーニー・ウォーレル、マイケル・ハンプトンなどが参加。

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SUGAR KISS / SUGAR FOOT (87年)

これもファミリー総出でバックアップ。『ファイアー“85”』であの名曲を再演。

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BAD BOBBY GLOVER / BOBBY GLOVER (84年)

ロジャー&ヒューマン・ボディの頃からのメンバー、ボビー・グローバー唯一のソロ。その歌唱力は今さら言うまでもない。ボビーがいるからこそのトーク・ボックスである。メイシオ・パーカー参加。再発CDあり。

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MAKE YOU SHAKE IT / THE HUMAN BODY (84年)

オハイオ・プレイヤーズのビリー・ベックら、3人の男性ボーカルを中心にした、基本的にはボーカル・アルバムだ。でも、そうならないのが、ロジャーの凄いところ。超名盤。残念ながら再発なし

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COSMIC ROUND UP / HUMAN BODY (85年)

すでにビリー・ベックは抜けているが、代わりにシャーリー・マードックの旦那、デイル・ディグロウが中心になってがんばっている。音的にはザップの4枚目にかなり近い。再発CDあり。

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SOMETHING NEW / NEW HORIZONS (83年)

これもボーカル・グループで、音的にはザップ色が濃い。バーニー・ウォーレル、メイシオ・パーカー参加。

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GONNA HAVE BIG FUN / NEW HORIZONS (84年)

1枚目よりはザップ色は抑えられている。シュガー・フット参加。再発は、1枚目と2枚目を編集した日本盤CDが出ている。。

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SHIRLEY MURDOCK ! / SHIRLEY MURDOCK (85年)

シャーリー・マードックのデビュー盤。ヒューマン・ボディの『アズ・ウイ・レイ』を再演、大ヒット。

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A WOMAN'S POINT OF VIEW / SHIRLEY MURDOCK (88年)

やっぱり、ゴスペルをやってた人の歌唱力は聴いてて安心感がある。ザップの『スペンド・マイ・ホール・ライフ』を再演してますが、これがまた素晴しい。

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LET THERE BE LOVE ! / SHIRLEY MURDOCK (91年)

この当時、歌手を目指す、黒人の女の子が目標にするのは、ホイットニー・ヒューストンかシャーリー・マードックのどちらかだったらしい。日本ではわからないが、それが本国での彼女の「格」だ。

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A PINCH OF LYNCH / LYNCH (89年)

ロジャーの息子、リンチのデビュー盤。ザップ・ファミリーとやりだしたのは、割と最近で、それまではミネアポリスのプリンス一派の連中とやってたようだ。(実際のジャケットはカラーです)

JACKET
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この写真は88年に、初めて大阪に来た時のツアー・パンフレットです(ロジャーのサイン入り)。確か、厚生年金会館の中ホールだったと思います。チケットは、発売日を、何日か過ぎて購入したにもかかわらず、一列目のど真ん中でした。客の入りも、一階席が半分から三分の二くらい埋っていた位だったと思います。『アンリミテッド』の、エレクトリックなものを期待していた私は、最初少し戸惑いました。録音物とは全く違う、泥臭いファンク・ショーでした。なにしろオープニングが、例のムカデ歩きでしたから。それでも、終了後のあの満足感は、今でもはっきり覚えています。それ以来、大阪公演は欠かさず観にいってます。

12inch single

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I HEARD IT THROUGH THE GRAPEVINE / ROGER (81年)

マービン・ゲイの『悲しいうわさ』のプロモ盤、B面は『ソー・ラフ、ソー・タフ』収録。

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DO IT ROGER / ROGER (81年)

『ドゥー・イット・ロジャー』のプロモ盤。この曲が、ライブで盛り上がるんです。B面は『ブルー(ア・トリビュート・トゥ・ブルース)』。

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I CAN MAKE YOU DANCE / APP (83年)

A面にロング・バージョン、B面にショート・バージョン収録。

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HEARTBREAKER / ZAPP (83年)

プロモ盤。B面に『タット・タット(ジャズ)』収録。

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IN THE MIX / ROGER (84年)

プロモ盤。A面がLPバージョン、B面がシングル・バージョン。

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MIDNIGHT HOUR / ROGER< (84年)

ウィルソン・ピケットのヒット曲のカバー。これはめちゃくちゃ好きです。プロモ盤。A面がLPバージョン、B面がパート1(ショート・バージョンです)。

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ITCHIN' FOR YOUR TWITCHIN' / ZAPP (85年)

A面がLPバージョン、B面がリミックス・バージョン。プロモ盤。

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RADIO PEOPLE / ZAPP (86年)

これも大好きで、すっごく楽しくなる曲です。A面がLPバージョン、B面にリミックス/エディット・バージョンと『イッチン・フォー・ユア・トゥイッチン』のリミックス・バージョン収録。プロモ盤

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I WANT TO BE YOUR MAN / ROGER (87年)

A面にエクステンディッド・バージョンと7インチ・バージョン。B面に『リアリー・ウォナ・ビー・ユア・マン』のリミックス/エディット・バージョンと『バッデスト・ギタリスト・アラウンド』収録。

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THRILL SEEKERS / ROGER (87年)

A面がエクステンディッド・リミックス・バージョン。B面にリミックス/エディット・バージョンと『祝のための楽曲(1918年5月30日)』収録。

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PAPA'S GOT A BRAND NEW BAG / ROGER (88年)

言わずと知れた、ジェイムズ・ブラウンの『パパのニュー・バッグ』。A面がリミックス・バージョン。B面にリミックス/エディット・バージョンと『ソー・ラフ、ソー・タフ』収録。

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IF YOU'RE SERIOUS / ROGER (88年)

A面がリミックス・バージョン。B面にリミックス/エディット・バージョンと『プライヴェイト・ラヴァー』収録。

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OOH BABY BABY / ZAPP (89年)

ミラクルズ65年のヒット曲のカバー。LPバージョン。プロモ盤

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AOOH BABY BABY / ZAPP (89年)

A面が12インチ・バージョン。B面にLPバージョンとインストゥルメンタル・バージョン収録。

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FIRE / ZAPP (89年)

オハイオ・プレイヤーズの代表曲。A面が7インチ・バージョンとインストゥルメンタル・ジャズ・バージョン。B面がエクステンディッド・バージョン、LPバージョンと、『ジェイク・E・スタンスティル』を収録。

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I PLAY THE TALK BOX / ZAPP (89年)

A面がレディオ・エディットとLPバージョン。B面がエクステンディッド・バージョン、ジェイクミックスとダブ・ミックスを収録。

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ECERYBODY GET UP AND REMIX EP / ROGER (92年)

ロジャーのソロ4作目『BRIDGING THE GAP』からのシングル・カットで、EPMDをフューチャーした『(エブリバディ)ゲット・アップ』の7バージョンと『ウォナ・ビー・ユア・マン』『パパのニュー・バッグ』など『アンリミテッド』からの5曲7バージョンをカップリングした、日本編集盤。

JACKET

MEGA MEDREY / ZAPP (93年)

『ドゥー・イット・ロジャー』『ソー・ラフ、ソー・タフ』『悲しいうわさ』など9曲を、ロジャー自らがメドレー風にリミックスしたもの。3バージョン収録。

JACKET

COMPUTER LOVE / ZAPP (93年)

名曲『コンピューター・ラヴ』を、元ギャップ・バンドのチャーリー・ウイルソンを迎えて録音し直した『コンピューター・ラヴ('94ミックス)』のリミックス・バージョン。

Guest and Others

JACKET

WANNA MAKE LOVE / SUN (76年)

オハイオ・ファンクの重要グループ、サンのファースト。タイトル・トラックで、ロジャーとレスターが客演。アルバムとしても大傑作。必聴です。再発CDあり。

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FEEL THE MUSIC / DAYTON (80年)

サンを抜けた、ショーン・サドリッヂら3人が中心となって結成されたグループ。『ラヴ・ユー・エニーウェイ』をロジャーがプロデュース。収録の『ザ・サウンド・オブ・ミュージック』は名曲。この盤も必聴です。再発CDあり。

JACKET

A PINCH OF LYNCH / LYNCH (89年)

ロジャーの息子、リンチのデビュー盤。ザップ・ファミリーとやりだしたのは、割と最近で、それまではミネアポリスのプリンス一派の連中とやってたようだ。(実際のジャケットはカラーです)

JACKET

LIVE IN L.A. '85 / ZAPP

85年LAでのライブの海賊盤。やっぱり、ファンクはライブ!

※ このほかにも、スクリッティ・ポリッティのアルバムで客演したり、93年にはアダムス・ファミリー2のサントラで、フ・シュニッケンズと、チャールズ・ライトの『エクスプレス・ユアセルフ』をやったりと(これはめちゃかっこいいので、必聴!)、ヒップホップのアーティストとの共演も、たくさんしています。全ては紹介できませんが、また近頃、ロジャーの名前を目にすることが多くなったような気がします。

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