どこが特集やねん! 其の六 ニュー・オーリンズ・ファンクの巻

ニュー・オーリンズ特集です。と言っても私はニュー・オーリンズ・ファンというわけでもなく、特にニュー・オーリンズを意識して聴いたことはないです。今回はニュー・オーリンズをキーワードにファンクを集めてみたという感じで、ニュー・オーリンズR&Bやジャズに関しては、ほとんど知識がありませんし、そのあたりは強烈なマニアの方がいますので、そういう方のHPにおまかせします。なにしろネヴィル・ブラザースを取り上げてませんので(どうもアーロンのボーカルが好きになれません。まだまだ青いもんで...)。でもこうして集めてみると、やっぱりみんな独特のグルーヴがあります。これがニュー・オーリンズ・サウンドなのでしょうか。
★音源はYouTubeでタイトルとアーティスト名で検索してみてください。

THE WILD MAGNOLIAS

THE WILD MAGNOLIAS 74年

ボー・ドリス率いるマルディ・グラ・インディアンのトライブ(部族)、ワイルド・マグノリアスのファースト・アルバム。激重ファンク・グルーヴをボー・ドリスのインディアン・チャントがさらに煽る。レア・グルーヴ・クラシック「ソウル,ソウル,ソウル」収録。バークリーのオリジナル盤はダブル・ジャケットで超かっこいいです。ポリドールからも出てます。なお再発のCDは、ボーナス・トラックが5曲も(セカンドからも一曲)入ってお特です。

THEY CALL US WILD 75年

強烈なセカンド・アルバムです。はじめて聴いた人は間違いなく腰が抜けるでしょう。地を這うようなグルーヴが背骨と腰骨を直撃します。ニュー・オーリンズの明るい雰囲気とは違った、ドス黒いうねりが、ボー・ドリスの叫びとともに精神を覚醒していきます。バークリーからのみのリリースだったため、長らく幻の盤でした。めでたく94年にCDで再発されました。必聴です。

I'M BACK AT CARNIVAL TIME ! 90年

これは先の2枚とは少し雰囲気が違う。ジョージ・ポーター、リバース・ブラス・バンドなどが参加した、マルディ・グラ(ニュー・オーリンズのカーニバル)の楽しい感じが伝わってくるアルバムです。ニュー・オーリンズの雰囲気を楽しみたい方にはいいかも。

METERS

THE METERS 69年

アート・ネヴィルを中心とした4人グループは、60年代中頃からアラン・トゥーサンのプロダクションでリー・ドーシーなどのレコーディングに参加していた。そして69年ジョシーから、ミーターズとしてシングル「ソフィスティケイテッド・シシィ」を発表する。

LOOK-KA PY PY 69年

デビュー盤に続き、このアルバムも全曲インストである。でも、聴き流せるような代物ではない。各メンバーの個性が強烈に自己主張しあう、歌が「ない」のではなく、「いらない」のだ。「ファンキー・ミラクル」やタイトル・トラックもいいが、「パンジー」がめちゃめちゃかっこいいです。

STRUTTIN' 70年

ジョシーからは最後のアルバムとなる3枚目では、初めてボーカル入りの曲が数曲収められています。やはりジョシー時代が、一番ミーターズらしかったのではないかと私は思います。この、スカスカでいなたいミーターズが好きです。「チキン・ストラット」収録。

CABBAGE ALLEY 72年

リプリーズに移ってからはシリル・ネヴィルがパーカッションで参加。音は一気にゴージャスになりボーカル曲も増えるが、やりたいことが出来ていないようにも感じる。でも、悪いということではなく、かっこいい曲も複数ある。

REJUVENATION 74年

前作の一抹の不安をかき消す、後期ミーターズの最重要作。ファンク・クラシック「アフリカ」収録。この「アフリカ」と「ヘイ・ポッキー・アウェイ」はネヴィル・ブラザーズのレパートリーにもなってます。

FIRE ON THE BAYOU 75年

アルバムとしては、まあまあという感じでしょうか。ただ、この頃にはローリング・ストーンズのツアーをサポートしたり、ポール・マッカートニーのパーティーで演奏したりと、ミュージシャンの間ではかなり高い評価を得ていた。

TRICK BAG 76年

ミーターズの許可なくリリースされてしまったという、いわく付きの作品である。この事がきっかけでアラン・トゥーサンとの間に深い溝ができてしまった。音的にも、柔らかすぎるというか、重みのない音になってしまっている。

NEW DIRECTION 77年

タワー・オブ・パワーのホーンセクションを迎えて、サンフランシスコで録音されたこの盤を最後にミーターズは解散してしまう。内容的にはベイ・エリア・ファンクとニュー・オーリンズ・ファンクの融合という感じでかっこいいと思うのだが、やはりミーターズの本意ではなかったようだ。

LEE DORSEY

THE NEW LEE DORSEY 65年

アラン・トゥーサンがプロデュースしたR&B色の強い盤。これもリー・ドーシーの代表作の1枚です。あまりたくさんの作品を残すこともなく、86年に惜しくも他界してしまった。

YES WE CAN 70年

タイトル・トラックはポインター・シスターズのカバーでも有名で、サンプル・ネタとしても使われまくってます。ミーターズ全面バックアップで、ファンキーなリー・ドーシーのボーカルとの相性もばっちりです。ニュー・オーリンズ・ファンクを代表する1枚。超名盤。

ALLEN TOUSSAINT

LIFE, LOVE AND FAITH 72年

ニュー・オーリンズの重要人物の一人、アラン・トゥーサンの3枚目のアルバム。ミーターズがバックを務めているので、ファンクな曲もあるのだがミーターズと比べると、かなり洗練された音になっている。ファンク・アルバムというよりも、ニュー・オーリンズR&B・アルバムという色合いが濃い。ザ・バンドをはじめミュージシャンからの評価は高い。

SOUTHERN NIGHTS 75年

アラン・トゥーサンの代表作とされる4枚目のアルバムで、同じくミーターズがバックを務めている。全作よりさらにポップな感じになっているが、聴き込むといたるところに、いろんなアイデアが駆使されていることに気付く。ファンク好きの私としては、ちょっと考えすぎだなと思うところがなきにしもあらず、という感じです。

DR. JOHN

IN THE RIGHT PLACE / DR. JOHN 73年

『ガンボ』と並び、ドクター・ジョンのニュー・オーリンズ・ファンク・アルバムの代表作とされる盤です。アラン・トゥーサンがプロデュース、ミーターズ全面バック・アップという超強力盤。ニュー・オーリンズ=ディキシーランド・ジャズというイメージをとっぱらったのは、ここらへんのメンツによる功績が大きいのではないでしょうか。また、その独特の雰囲気から「ヴードゥー・ファンク」などと呼ばれています。

DESITVELY BONNAROO 74年

前作に続きアラン・トゥーサンがプロデュース、バックはミーターズという鉄壁のメンツ。音がいい。ファンクのレコードにおいて、音がいいというのは重要なポイント。音が良くないと聴いていて気持ちよくないし、ファンクではなくなってしまう場合もある。

"WASTED" / THE GATURS

これはシングルを集めた編集盤。重た~くていいです。あまりニュー・オーリンズという感じではく、レア・グルーヴ好きの方にはおすすめです。レコード屋の店頭のコピーで「裏ミーターズ」などと書いてるところがありましたが、なかなか的を得てます。こういうのに出会うたびに、「まだまだやな~」と思います。なお、CDの方にはボーナス・トラックが5曲入ってます。必聴盤。

BIG CHIEF / PROFESSOR LONGHAIR

ニュー・オーリンズの重鎮、プロフェッサー・ロングヘアのベスト盤。アラン・トゥーサンが絶大な影響を受けたというのも納得できる、グルーヴィーな曲ばかりです。やはり元祖ニュー・オーリンズ・ファンクはこの人です。マルディ・グラ・インディアンのリーダーを意味するビッグ・チーフ。私はニュー・オーリンズというとこの「ビッグ・チーフ」という曲が頭に浮かびます。ブギ・ピアノが気持ちいいです。オリジナル・アルバムも是非聴いてみてください。

THE WILD TCHOUPITOULAS / SAME 74年

ジャカモ(アイコ・アイコ)のリズムではじまる、これもセカンド・ライン・ファンクの名盤。アラン・トゥーサンがプロデュース、ミーターズが全面参加という、この時期定番のプロダクション。名前からわかるように、このグループもマルディ・グラ・インディアンの部族の一つです。残念ながら現在は活動してないようです。ミーターズの「ヘイ・ポッキー・アウェイ」を大胆にリ・メイクしてます。

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