
どこが特集やねん! 其の六 ファンク・ブルースの巻
今回はブルースの特集です。私などのようなケツの青い若僧が、ブルースについて語るなどというだいそれた事はできません。私がファンクを好きで聴いていくうちに行き着いたのが、アフリカ音楽とブルースでした。ファンクにとってアフリカを母とするならば、ブルースは父ってとこでしょうか。まだまだそんなにたくさんの盤を聴いたわけではありませんので、私と同じくらいか、まだブルースをあまり聴いた事がないという方のために、ファンクのルーツになるようなものと、逆にファンクの影響を受けたものを取り上げてます。
★音源はYouTubeでタイトルとアーティスト名で検索してみてください。
ALBERT COLLINS

LOVE CAN BE FOUND ANYWHERE 68年
テキサスのジェームズ・ブラウン、アルバート・コリンズのインペリアルからの1枚目。私はインペリアル時代が好きだ。クールでいなたい感じはアリゲーター時代にはないかっこよさだ。常にボーカルの弱さを指摘されるが、そのクールで狂暴なギターは独特だ。一曲目に収録の「ドウ・ザ・シシイ」一発で決まり。

TRASH TALKIN' 69年
インペリアルからの2枚目、通算3枚目になるこのアルバムも、タイトなドラムとファンキーなオルガンがかっこいいグルーヴィーなブルース・アルバム。やっぱりインスト・ナンバーに本領発揮という感じです。インペリアルからはもう一枚「ザ・コンプリート・アルバート・コリンズ」が出てます。

THER'S GOTTA BE A CHANGE 71年
タンブルウィードからの唯一のアルバム。このアルバムではファンク色は押さえられ、モダン・ブルースという感じに仕上がってます。でも、ギターの音はクールで恐ろしく太いです。
BO DIDDLEY

The Black Gladiator 70年
ブルースでありながら女性コーラスを使ったり、オルガンをリズム楽器のように使ったり、ファンクに通じる要素もあり、とにかくかっこいい。必聴盤。

WHERE IT ALL BEGAN / BO DIDDLEY 72年
「ボー・デドリー・ビート」とまで呼ばれる独特のグルーヴは気持ちいいの一言。重鎮、気合いの一発。私はそんなにたくさんのアルバムを聴いたわけではないのですが、この盤では、ファンクなトラックに例のギターと野太い声、数人の女性ボーカルもフューチャーしてめちゃくちゃグルーヴィーです。ラストに収録されてる「BO DIDDLEY-ITIS」を聴いて、腰が動かないヤツがいたらお目にかかりたいです。ファンク好きには是非とも聴いてもらいたい一枚。

Big Bad Bo 74年
ホーン隊も導入してゴージャスな音になってる。レアグルーブ・クラシック『Hit Or Miss』収録。
JAMES COTTON

PURE COTTON 68年
ヴァーヴからはアルバムを3枚リリースしている。まだ、ファンクというものでもないがR&Bの名曲もやってて、中でも「100% COTTON」で再演される「THE CREEPER」がかっこいい。ボーカルもまだ若いです。名義は「ザ・ジェイムス・コットン・ブルース・バンド」。

100% COTTON 74年
コットンが、参謀マット・マーフィーと共に創りあげた、ファンク・ブルースの金字塔的超名盤。ボトムを支える、まだ若きドラムとベースがこれまた素晴しい。この時代に、このメンバーでしか創り出せなかったであろう1枚です。CDでも再発されてますので、必聴です。

HIGH ENERGY 75年
前作「100% COTTON」に続き、ブッダよりリリースされたこの盤は、コットンがさらにファンクを押しすすめるべく、プロデュースにアラン・トゥーサンを迎えニュー・オーリンズで録音されたものだ。絶好調のジェイムス・コットン・バンドと、この時期のアラン・トゥーサンが手を組んだ作品で悪い訳がない。ピアノでジェイムス・ブッカーが参加。これも必聴です。

LIVE AT ELECTRIC LADY 92年
発売は92年だが、録音は「100% COTTON」リリース直後である。そしてオリジナル・ジェイムス・コットン・バンド唯一のライブ盤だ。怒涛のファンク・ブギ大会!黙って聴きましょう。

LIVE FROM CHICAGO 86年
これもめちゃめちゃかっこいいです。バンドもタイトで、MCが煽る煽る。やっぱりファンクはライブ。これも必聴盤です。
LITTLE SONNY

New King of the Blues Harmonica 69年
デビュー盤でエンタープライズ第一弾。ほとんどがインストで、ドラム対ハーモニカみたいな曲など、彼のハーモニカが堪能できる。

BLACK & BLUE 72年
エンタープライズということで、バーケイズがバックを務めたりしてまっす。全体的なクオリティは上がったと思うのですが、泥臭さが抜けてしまっていて、私は前作の方が好きです。

HARD GOIN' UP 73年
リトル・サニーのスタックスからの3枚目のアルバム。前作の延長線上だが、ファンク度は上がったかな。どうしても、ジェイムズ・コットンの影に隠れがちだが、ワッツタックス・コンサートにも出演したり、サニーの方がファンクに対するアプローチは積極的な気がする。この盤もクラビネットやホーンを導入して、リズム隊などは完全にファンクだ。
JUNIOR WELLS

HOODOO MAN BLUES 65年
ブルース名盤には必ず上げられる一枚。ジュニア・ウェルズ・シカゴ・ブルース・バンド名義で、このバンドにはバディ・ガイも参加。ウェルズのハープ、ガイのギターとドラム、ベースという4人編成とは思えない、グルーヴィーな演奏が聴けます。アレステッド・デベロップメントがサンプリングした「ウイアー・レディ」収録。必聴盤。

YOU'RE TUFF ENOUGH 68年
グルーヴィな曲も多いが、しっかりブルースもやってる。

SOUTHSIDE BLUES JAM 70年
この盤は、ミディアム~スローな曲で構成された、ボーカルを全面に出したブルース・アルバム。ピアノでオーティス・スパン、ギターでバディ・ガイが参加。

ON TAP 74年
これは74年という時期もあり、ホーンやオルガンも加えて、かなりファンクな曲もあります。クラブで、ファンクに混ぜてかけても全然違和感ないです。
LOWELL FULSOM

SOUL 65年
この盤はローウェル・フルスンがリリースしたシングルを集めて作られたものだ。まぎれもないブルースではあるが、その中にファンクやソウルの匂いがする、私のようなファンク好きが聴いてもかっこいいと思う傑作アルバム。

IN A HEAVY BAG 65年
『TRAMP』に繋がるような曲も何曲かあり、爆発寸前を思わせる濃い内容。

TRAMP 66年
ブギ・ダウン・プロダクションがサンプリングして有名になった「トランプ」収録。「ソウル」に続きケントからの2枚目になるこのアルバムは、ローウェル・フルスンのキャリアの中でも最高傑作ではないでしょうか。「ソウル」も素晴しいが、よりソウルフルでファンキー、そして何より「トランプ」一曲の破壊力で私はこの盤の方が好きです。

LET'S GO GET STONED 71年
この盤はめちゃめちゃファンクです。ファンクという事では3枚の中で一番です。ほとんどがアップ・テンポの曲で、タイトなドラムにフルスンのお得意のギター・フレーズがからむという感じです。収録の「ファンキー・ブロードウェイ」は必聴。

ELECTRIC MAD / MUDDY WATERS 68年
重いドラムで始まる、ファンカデリックかと思うような一曲目。

RAW UNPOLLUTED SOUL / WILLIE WILLIAMS 73年
ドラマーのウイリー・ウイリアムスのアルバム。これはファンク・アルバムではないのですが、全編に漂う、いなたく重たい雰囲気がクールでかっこいいです。キャリー・ベルがハーモニカでフューチャーされてます。見たことがないはずの50年代のデトロイトが目に浮かぶようで、この辺を聴きだすと深みにはまりそうで怖いです。

RIDIN' / LUCKY PETERSON 84年
みなさんは、このジャケットがレコ屋の店頭に並んでいたとして、素通りして帰ることができますか?現在も活躍中のブルース・ギタリスト、ラッキー・ピーターソンが、全曲オルガンとピアノで録音した、ジャケット写真そのまんまのグルーヴィーなアルバムです。レスリーのうねりがめちゃめちゃ気持ちいいです。BOOKER T. & THE MG'Sの「グリーン・オニオンズ」もやってます。このアルバムは超おすすめです。

RON LEVY'S WILD KINGDOM / B-3 BLUES AND GROOVES 93年
このRON LEVYという白人のキーボーディストについて、詳しくは知らないのですが、タイトルが示す通りハモンドB-3の歪んだ音が気持ちいいです。アルバート・コリンズがゲストで参加した曲は、正に歪み大会という感じです。ゴー・ゴーをやったり、ラテン風の曲をやったりと、いろんなタイプのグルーヴィーな曲をやってます。古いブルース・アルバムのような重量感はないのですが、単純に気持ちよくてかっこいいです。ゲストでメンフィス・ホーンズも参加。必聴です。

Popper Stopper / ISRAEL TOLBERT 71年
盲目のサザン・ソウル・シンガー。アルバムもソウルアルバムですが、収録の『BIG LEG WOMAN』がファンク・ブルースです。

BLUES / JIMI HENDRIX 94年
タイトルもそのものズバリの、未発表曲を含むイギリス編集のアルバム。黒人音楽好きの方で、あまりジミ・ヘンドリクスは聴かないという人にも是非聴いてほしい。各曲ごとに細かなデータや録音のエピソードが記されたライナーが素晴しい。でも、ジミは本当はロックをやりたかったんだろうか。