どこが特集やねん! 其の一 フェラ・クティの巻

まずこのコーナーのタイトルの説明からさせてもらいます。
私はレコードを聴くときジャケットはあまり見ない。そのため曲目は全く覚えないし、アルバムのタイトルすら覚えてないものがたくさんある。そんな私なんでジャケ違いの同じレコードを買ってしまうことが、たびたびある。普通、特集というとディスコグラフィーや、プロデューサー、参加ミュージシャンなどがリスト・アップされてるのが普通である。でも、タイトルすら知らない私が、参加ミュージシャンやレーベルなど知ってるはずがない。だからそういうデータ的なものを作成する能力は私にはない。したがって、ただ自分が持ってるレコードの、自慢のコーナーになってしまう可能性が濃いということを前もってお断りしておきたい。で、このタイトル「どこが特集やねん!」ちゅうことです。
偶然にもこの特集をアップした日にフェラ・クティは他界しました。逆に彼の存在感や、彼の音楽がどれほど私に必要かということは、日増しに大きくなっていくようです。この特集を、私に勇気と希望とパワーを与えてくれたフェラ・アニクラポ・クティに捧げます。
※一部、亡くなる前に書いた文章をそのまま残している箇所がありますことを、ご了承ください。

というわけで、第一回目はキング・オブ・アフロ、フェラ・クティだ。
まず最初にお断りしたいのは、このおっさんはフェラ・クティであって、決してガッツ・石松でも北島三郎でもないということだ。その時々でフェラ・アニクラポ・クティ、フェラ・ランサム・クティ、バンドも、アフリカ’70、エジプト’80などと名前を変えるが、しかし、断じて、ガッツ・石松を名乗ったことは一度としてなければ演歌を歌ったこともないということを胆に命じて読み進んでほしい。
60年代末、マルコム・Xから多大な影響を受け、そのころアメリカで盛り上がるファンク・ミュージックの影響も受けながら生まれたのが、アフロ・ビートだ。アルバム?には、片面に1曲か2曲しか入っていない。短い曲で7~8分、長いものは15分にも及ぶ。私が初めて聴いた曲、「ゾンビ」は12分以上の曲だ。でも長いとは思わなかった。もっと聴きたいと思ったほどだ。次々に重ねられていく楽器が複雑なポリリズムを生みだし、背骨がグルーヴし始める。それだけでは、ただのダンス・ミュージックと同じだ。フェラ・クティのレコードには彼の魂が込められている。政府の軍隊に母を殺され、数回におよぶでっち上げ逮捕と投獄。そんな彼の想いとエネルギーが強烈なグルーヴに乗って伝わってくる。戦いの音楽だ。

ナイジェリア、レゴスにあるナイト・クラブ、シュライン。週2回のペースで行われるライブは4時間以上にも及んだらしい。1年、2年と演奏した曲を彼はレコーディングした。そして、レコーディングした。曲は2度とライブではやらなかったそうだ。ライブ・ビデオが何本か出ているので、興味のある方は見てみてください。バック・ダンサーの女性達がまた強烈です。
フリー・ソウルのように軽く聴き流せるようなたぐいの音楽ではありません。かなり重たいです。でもあなたが、世間体に縛られ、ストレスに押し潰されそうになった時、フェラ・クティの音楽を聴いてみてください。精神は解放され、パワーを与えてくれるはずです。

Pick Up

これからFELA KUTIを聴いてみようかなという方は、ここら辺りから聴いてみてください。(おすすめ順ではなく年代順です)
現在ほとんどの音源はCD化されています。
★音源はYouTubeでタイトルとアーティスト名で検索してみてください。

LIVE ! / FELA KUTI WITH GINGER BAKER 71年

ジンジャー・ベイカーを迎えての71年のライブ。トニー・アレンとのツイン・ドラムから繰り出されるグルーヴは凄まじい。これもフェラ・クティの傑作に数えられる一枚。

KALAKUTA SHOW 76年

ロウ気味のビートで始まる曲ですが、テンポが上がるわけでもなく演奏の密度が濃くなるでもないのに、テンションが上がってくる。アフロビートのマジックとでも言うのでしょうか。曲の中盤になる頃には自然に体が揺れ始める。ゆるく重く背骨がうねり始める。

ZOMBIE 76年

77年作。フェラ・クティが一番脂の乗りきっていたのが、70年代中頃ではないだろうか。その中でも個人的には最高傑作の一つに上げたい。アフリカ音楽に分類されることもあるが、このレコードに内包されたものは、まぎれもなくファンクだ。人種や言語の壁を超えて、作者(演者)のテンションが伝わってくる音楽は確実にある。耳で聴くな!頭で考えるな!

J.J.D. FELA LIVE AT KALAKUTA REPUBLIK 77年

ライブ盤ということだが、全てのレコーディングがライブ盤みたいなものなので、「ライブ盤特有の」ようなものはない。前半のパーカッションで気分は高揚し、曲の頭から100%で始まる。これを生で体験できたなら、精神はぶっ飛ぶだろう。ドラッグなんていらない。A面でお腹いっぱい。

自分が持っているレコードのみを載せましたので、完全なディスコグラフィーではありません。
ジャケットも全てがオリジナル盤のものではないです。

FELA'S LONDON SCENE 70年

SHAKAR 72年

MUSIC OF FELA -ROFOROFO FIGHT 72年

Question Jam Answer 72年

OPEN AND CLOSE 72年

AFRODISIAC 73年

HE MISS ROAD 75年

EXPENSIVE SHIT 75年

YELLOW FEVER 76年

UP SIDE DOWN 76年

NO BREAD/ UNNECESSARY BEGGING 76年

OPPOSITE PEOPLE 77年

FEAR NOT FOR MAN 77年

SHUFFERING AND SMILING 77年

MUSIC OF MANY COLOURS/ WITH ROY AYERS 80年

COFFIN FDR HEAD OF STATE 81年

ORIGINAL SUFFER HEAD 81年

ARMY ARRANGEMENT 85年

TEACHER DON'T TEACH ME NONSENSE 86年

BEASTS OF NO NATION 89年

CONFUSION BREAK BONE 90年

US (UNDERGROUND SYSTEM) 92年

THE'69 LOS ANGELS SESSIONS 93年

TONY ALLEN

アフリカ70のドラマー、トニー・アレンのリーダー作

JEALOUSY 75年

PROGRESS 77年

NO ACCOMMODODATION FOR LAGOS 77年

NO DISCRIMINATION 79年

MIX

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